ティソアクタリス
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ティソアクタリス

1970年代にTISSOTから発売された革新的な腕時計。
その特徴はムーブメントcal.2271のほとんどのパーツが樹脂でできている点。
部品を樹脂化することで生産効率、コストの削減に貢献。
普及機ではあるがスイスメイドの意地を見せ外見の作りは非常に良い。
文字盤に書かれたautolubはムーブメントに注油しなくても良いよと言う意味
樹脂の表面のコーティングにより摩擦が発生しづらいらしい。
さてこのアクタリスはその革新的な設計思想にもかかわらずあまり売れた腕時計ではないのだが実はスイス腕時計産業にとんでもない影響を与えている。
1969年セイコーによって引き起こされたクォーツショックによってスイス時計産業は壊滅寸前に追い込まれ生き残るために高級な機械式腕時計生産に舵を取る。
一本の価格は高いが数が売れるわけではない為スイスは一部のブルジョワな人のみをターゲットに小さなマーケットでしか生き残ることができなかった。
しかし1980年代オメガ、ティソが傘下に入っていたSSIHグループが中心となりスウォッチが登場。
スイス製でありながら低価格でスタイリッシュな樹脂パーツてんこ盛りのスウォッチは世界的に大ヒット。
そう、このティソアクタリスがスウォッチの原型である。
スウォッチ設計の際に参考にしておりクォーツと機械式の違いはあるがかなりの割合でアクタリスの要素が取り入れられている。
アクタリスは商業的には成功はしなかったがその思想は間違いではない事を10数年後に実証されたわけである。
そういった意味でアクタリスは隠れた歴史的名機である。

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投稿者

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東京都

コメント

  1. いつもありがとうございます。
    歴史の授業、ほんと勉強になります!

  2. @まちの時計屋さん
    自分も書いていて楽しいのでこれからもバンバン投稿していきます^⁠_⁠^

  3. チェホンマン チェホンマン

    ティソのアクタリスってそんな意味があったんですね!
    スウォッチの原型って全然知らなかったし、なんか「失敗作」ってイメージだったけど、実はその考え方自体は正しかったっていうのがめっちゃ面白い。

    クォーツショックって聞くと「セイコーが全部持っていった」みたいな印象だったけど、スイスもちゃんと色々もがいてたんだなぁって感じる。
    しかもそのもがきが10年後に世界的大ヒットにつながるなんて、まさに歴史の裏話って感じでワクワクする。

    ただ、アクタリスが「なぜ当時売れなかったのか?」は気になるな〜。デザイン?値段?それとも時代が早すぎた?
    もし今リバイバルで出したら、逆に時計好きの間で結構注目されるんじゃないかな。

  4. @チェホンマン
    売れなかった理由ですが1970年代高級、高精度高品質でなければ売れない状態だったスイス時計産業に安いと言うイメージしかなかった樹脂を多用した腕時計が受け入れられるわけがないんですよね。
    当時ロレックスをはじめとしたスイスのトップブランドは日本の高品質ながら価格が安い腕時計ですら格下に見ていましたから売れなかったのも必然だったと思います。
    ちなみにアクタリスの思想を受け継いだスウォッチのメカニカルですら金属パーツてんこ盛りなのでやはりスイス企業としてのプライドは捨てられないんでしょうねw

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